ピアノ修理・調律で美しい音・タッチを甦らせよう
オーバーホール
ピアノは木製の楽器なので、温度や湿度に影響を受けますし、年月を重ねるにつれて劣化していきます。ピアノ内部には弦やチューニングピン、ハンマー、ダンパーフェルトなどの細かなパーツがたくさんあります。これらが長年の使用によって劣化していくことで、音が悪くなってしまいます。
オーバーホールとは、ピアノを一度すべて分解して、それぞれのパーツの掃除や修理を行ったり、新品のパーツに変えたりすることです。一部分を修理しただけでは劣化したピアノの音を元に戻すことはできませんが、このオーバーホールによって、購入当時の音色に限りなく近づけることができるのです。
オーバーホールの作業内容
まず、ピアノのオーバーホールでは、どのような作業が行われるのかを紹介します。修理を業者にすべて任せるのではなく、自分のピアノにどんな処置が施されるのか、しっかりと把握しておきましょう。
分解・クリーニング
ピアノは数多くの部品から成り立っていますが、オーバーホールでは、それぞれの部品をまずバラバラに分解します。分解後、内部や各パーツのほこりや汚れを取り除くクリーニングを行い、ふだん掃除ができないアクション部分(ハンマーやダンパーフェルト)の清掃も行います。
塗装
長年使用したピアノは、塗装が剥げたり、傷や欠けがあったりします。
このような外装には下地処理を施し、再度塗装を行います。
内部フレーム(ピアノ内部で弦の張力を支える枠)の塗り替えは、オーバーホールでフレームをピアノ本体から外して行います。
チューニングピン交換
弦を巻きつけているチューニングピンの締め具合を調整します。
アクション センターピン交換
動きが悪かったりきつい場合は、細いセンターピンに交換し、部品のガタつきがあったり緩い場合は、太いセンターピンに交換します。本来の音色を出せるように、弦を打つための部品の動きを慎重に調整していきます。
ハンマーの交換
ピアノはハンマーが弦を打つことで音が出ます。このハンマーの先にはフェルトが巻かれていますが、長年の使用でフェルトが固くなってしまうと、元の音が出せなくなってしまいます。オーバーホールではこのハンマーの交換も行い、新品同様の音の響きを取り戻します。
弦の張り替え
ピアノの弦には寿命があります。何年もピアノを使っていると弦が疲れてきて音が悪くなりますし、環境によっては錆びてきます。オーバーホールでは、弦を新品に交換して新品同様のハリのある音や弾いた時のレスポンスを向上させます。
ブライドルテープ交換
弦を打ったあとにハンマーが元の位置に戻るために、バネの役割をするのがブライドルテープ。年月の経過や虫食いなどによって劣化している場合は交換します。これによって、打鍵の戻りが遅くなってしまったピアノのタッチを元に戻します。
オーバーホールはどんな業者に依頼すればいい?
ピアノのオーバーホールを依頼するときには、どんな業者に頼めば良いのでしょうか?思い出がたくさん詰まった大切なピアノを託すのだから、確実にピアノをよみがえらせてくれる業者さんに頼みたいですよね。
ここでは、安心してピアノのオーバーホールを任せられる業者の選び方を紹介します。
1. 実績をチェック
まず重要なのが、実績が豊富かということです。実績が豊富であるということは、それだけノウハウや知識が蓄積されているということ。あらゆる種類のピアノ、あらゆる状態のピアノに合わせた処置を施せるだけのノウハウを持った業者を選ぶことが大事です。WEBサイトに掲載されている実績数をチェックしましょう。
2.営業年数をチェック
創業からの年数が長いというのもポイントです。長年営業しているということは、顧客からの信頼を得ていることの証明だからです。会社概要に書かれている、創業年をチェックしましょう。
3.職人をチェック
また、在籍している職人さんにも注目すべきです。ピアノのオーバーホール作業をするのは職人さんです。経験豊富なのか、いろんなメーカーのピアノ修理に熟達しているスペシャリストなのかを確認しましょう。WEBサイトに調律師(オーバーホールを担当する人)の紹介がある業者がおすすめです。
このように、オーバーホールを依頼する業者を選ぶには、実績と歴史と職人をチェックするのがおすすめです。
オーバーホールというのはピアノをすべて分解して、イチから組み立てる高度な作業であり、知識やスキルがないと不満の残る仕上がりになってしまいます。元のピアノとは全然違う音になってしまうこともあるようですので、依頼時には注意が必要です。